アンケートより②

公開日: 2016年6月19日日曜日

 私が考えた課題の詳細を書きます。

「ア:情緒性を重視した回答をしている子どもの中には表現に躓いている子どもがいる。」
 回答例に「選択した色:深い黒 理由:三原色を混ぜると黒になる。七色を混ぜると黒になる。黒はきれいな歯の集大成という感じがするから。また、真ん中の絵が目立つから。」と書いている子がいました。6年生がここまで考えるのかと感心したものですが、この子のアンケートには「絵の内容がよく伝わらないと言われる。・・・」とも書いてあります。推測するに、この子の考えは同学年の子どもにはしっくりこないのだろうと思います。コンテンポラリーアートのように、これまでの「分かりやすい」作品の見方では理解しづらいのでしょう。結果として、アンケートには「絵の内容がよく伝わらないと言われる。授業で内容を伝えられる作品をつくる力をつけていきたいと思う。」といった心情が吐露されています。
 指導の改善策の一つとしては、作品制作時に下書きのコピーなどを用意し、試しに絵具を塗らせ、友だちと話し合いながら色彩の効果を確かめさせるという手立てが考えられます。生活情報誌「くまにちあれんじ」(6月18日)の「ぴよぴよ日記」には「息子とランドセルを見に行くも私と息子の好みが違ってしまった・・・。」という記事が載っています。茶色のランドセルを勧めるお母さんと黒がいいという子どもの絵が描いてあります。このように親子ですら色の好みが違うのですから、生活環境・文化が異なる友だち(他者)はなおさらです。「生活の中での働きや,時代や国々,生活地域の違いによって,それぞれの色彩に対する感じ方や感情にも違いがある」と中学校の学習指導要領解説美術編にも書いてあるのですが、私たちはこの記事のお母さんのように「みんなの色の好みや感じ方は一緒」と思いがちなのです。子どもに「色の感じ方は様々である」という見方をもたせることが大切だと思います。

「イ:識別性を重視した回答をしている子どもの多くは明度対比を使っているが、色相対比の記述は少なく、彩度対比の記述はない。」
 私がアンケートの説明に「あなたならこの背景を何色(一色・白色以外)でぬりますか。また、その色をえらんだ理由も書きましょう。なお、色は「明るい〇色」「暗い〇色」「〇〇のような〇色」などくわしく書きましょう。」と書いていたのが遠因かもしれませんが、子どもは「明るい」「暗い」という言葉はよく使っています。しかし、「鮮やか」「鈍い」などの言葉は使っていません。一般的にも明度対比の方が理解しやすいのでそれはよいのですが、子ども自身が「色相対比、彩度対比」を意識していないのであれば改善すべきです。中学校の学習指導要領解説美術編には次の記述があります。少し長いですが載せます。

 「色彩」については,色の三属性や体系,色のもつ性質や感情など色彩に関して総合的に理解し,いろいろな色の組合せや配色,彩りがもたらす感情効果を意識させることを大切にする。これにより,色を豊かにとらえ,配色によって印象が変化することに気付いたり,色を色相・明度・彩度の類似や対照などの組合せによって分析的に,あるいは総合的にとらえたりする能力を身に付けさせる。例えば,淡い色の組合せから弱い感じや優しい感じをとらえたり,彩度の高い色の組合せから強い感じやはっきりした感じをとらえたりする。このような色彩についての知識や様々な体験が,色についての見方やとらえ方を豊かにしていくことになる。(下線:本山)

 また小学校の学習指導要領解説図画工作編の高学年には次の記述があります。

 「形や色,動きや奥行きなどの造形的な特徴をとらえる」とは,児童が自分の感覚や活動に基づいて感じた形や色,動き,空間,奥行きなどの造形的な特徴をとらえることを示している。例えば,形そのものがもつ方向感,表面の材質感の違い,色の明るさや鮮やかさ,時間的な変化の動き,大きな建物の量感や奥行きの感じ,ものの動きやバランスなど,材料や用具,学習活動などにより様々な内容が考えられる。(下線:本山)

 このように見ると、分析的とまでは言いませんが、小学校の高学年で「明度対比、色相対比、彩度対比」を指導すべきだと思います。ただ、現行の教科書を見ても明確に12色相環の紹介はなく、裏表紙に「形や色を楽しもう」のタイトルとともに「色の輪」の紹介(「5・6年上」日本文教出版)があったり、巻末のパレットコーナーに「つながる色の輪」の紹介(「5・6年上」開隆堂出版)があったりするだけですので、見解は分かれるところかもしれません。

 ※長くなりますので、残りは次回にします。《本山》
 ※ちなみに、コスタリカの小学校(私立)の図工室の掲示には右のようなものがありました。




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